或る会社での経験

今の仕事に就く前の18年間(考え様によっては21年間)、或るひとつの会社で働いました。 そこで経験した事を思い出すままに書いてみます。辞めた時の印象や待遇が悪かったので 「良い話」ばかりにはならないかもしれませんが、自分が失敗した中にもなにか役立つことが潜んでるかも しれません。

1.「はじめに…『或る会社での経験』」
2.「ルートセールス」

1.はじめに…「或る会社での経験」

その会社で働き始めたのは1983年で、大学1年の19歳の冬でした。 アルバイトニュースで見つけて面接にいって採用されました。 18時〜24時までの夜間スタッフで、仕事内容はレジと、酒の補充、生鮮の片付けとかでした。 時給は確か700円か750円くらいだったと思います。
60坪くらいの小さなスーパー(酒もあり)で、社員が10人ぐらい、パート・アルバイトが15人(総数) ぐらいの店でした。
東京での始めてのそのバイトは長続きし、大学をさぼって昼間も働くようになりました。 大学には4年間だらだら在籍したものの、ほとんど単位など取っていなかったので、4年で辞めて そこに就職してしまいました。
昼間働いたのも、そこに就職したのも当時の店長の影響が大きいです。 エンド陳列やらPOP作りやらを一緒にやっているうちに「この仕事は楽しそうだ」と思い入社しました。
実は親父がその当時自分のいた会社の系列に、大学中退でも入れてくれって打診していたらしいです。 しかし年齢的にも怖いものしらず、向こう見ず。「鶏頭となれども牛後となるなかれ」てな勢いでした。

社員として18年働き、その間に会社は結構大きくなりました。自分もいろいろな売り場、役割を経験し、辞める 2年前ぐらいまでは、ここに入って良かったと本気で思っていました。 そして、会社の皆がそう思える企業にしようとも思っていました。があって2004年の4月付で退職し、 今は全く畑違いの仕事をしています。
退職について不満はあります、その事もそのうち書きたいと思いますが、 18年間総じていい経験をしたと思っています。そのなかでも、中小の流通業や、酒販店に関してはかなり内幕を 見てきたのでいろいろ思い出してみたいと思います。

「或る会社」は今でも存続し、知っている従業員もいますが、 あくまでも現在のその会社及び特定個人の批判ではなく、自分の経験を書いていきます。 しかし、自分の感情の中で当時の関係者への批判などもでると思います。その点ご留意ください。
誰でもその時々に、自分の中でベストあるいはベターな事を選択しているはずです。 それでも結果として、会社を辞める事になったのは何故か、山を迎えた企業に西日がさしたのは何故か。
そんなことも考えてみたいと思います。
2004年12月2日

2.ルートセールス

「ルートセールス」というものをご存知でしょうか、結構知られていると思われます。 決まったルートを廻り商品を納品して行きます。 しかしただの配送ではなく、納品する商品の受注も営業もやります。 だからルートセールスと呼ぶのです。
現在では、スーパーなどの通常の売り場は在庫状況や販促計画に基づいて「発注」をして、 それを受けたベンダーが商品を納品するのが一般的です。 対してルートセールスの多くは店側ではなく、納品する側が在庫を調べて補充したり、販促をかけたりします。
プロパー(定番商品)に関していうと、ルートセールスは自分が廻る店のアイテム(品揃え)を把握してますから それらを車に在庫して出かけます。お店についたら受け持ちの「棚」で自分の納めている商品をチェックして 不足分を伝票を切り、納品して行きます。
一般的にルートセールスは返品可です、ルートセールスが商品をチェックして、日付の古いものを返品 したり交換したりしていきます。

ルートセールスがいる日常を少し説明すると、売り場にルートセールスが現れます、開店前の事もあるし、営業中 の事もあります。ルートセールスもいくつもの店を担当しているので、どの店にも開店準備の時間にという訳には いきません。
「チーフ、毎度」、なんて言って現れます。
「よく売れてますね」とか、「新商品、いまいちかなー」とか言いながら(言わない事もある)店の商品をチェックしていきます。
そして車に戻り、商品を揃えてまたやってきます。
「検品お願いします」といって今日補充する商品を納品します、返品をおこす事もあります、 そして自分で棚に並べいきます。
時には、新商品の紹介や、自分の廻っている他店の話など商売の話をする事もりますが、 毎日のように顔を出しているから、趣味の話とか(圧倒的にギャンブルが多い)、 世間話をしていく場合もあります。
棚卸しなどは、大体ルートセールスが自分の受け持ちをやっていってくれます。

使いようではとても便利な存在です、お店の従業員というのは、お客様に接する以外は、「発注」、「陳列」が 主な仕事です。それを代行してくれる訳ですから。しかし、私は昔から問題があると思っていました。
問題点は、
  • 適切な発注数がつかめない
  • 品揃えが偏る
  • 店の従業員よナアナアになる
例えば、いつも朝に来るルートセールスがある商品を10個置いていきます、翌朝来ると売り切れていてまた10個 納品します、それを繰り返す、こんな事がおこってしまいます。気の利いたルートセールスなら
「昨日は何時ごろ売り切れました」と聞いて数量を増やしたりしますが、その具合に個人差があります。
話題になりそうな(なっている)商品があったら、
「これは必ず売れますから目立つ場所で大々的に売ってください」なんていう切れ者もいるけど、みのもんた 効果の商品(テレビで話題)なのに売り場を切らすという者もいます。
つまり、前ふたつの問題は、「ルートセールスの質」によって店の売り場の状態に影響が出てしまうのです。
もうひとつの従業員との関係ですが、いい商売をするのにコミュニケーションも大事ですが、 ひとつのセールスと10分おしゃべりをしていたとしても、何社もくるのですから店の責任者にはたまったものでは ありません。それぐらいで済めばまだしも、利得がからんだ関係になると背任です。取引先とにはある一線での 緊張感が必要ですが、あたかも店の人間のように品物を陳列してる人間に対しそういう緊張感を失いかけます、 危険な事です。

個人的な見解で言うと、お店のレベルが低いほどこのルートセールスが多くなります。レベルが低いというのは 前時代的といってもいいかもしれません。私が業界を知る以前(20数年前)には、かなりの商品がルートセールス に依っていたし、そうでない問屋納めの商品も、問屋のセールスが御用聞きにきて、在庫をチェックして後日配送 するなどということが普通に行われていたようです。MD(マーチャンダイジング)なんて用語が使われて、 中小のスーパーでも、売り場の担当者が商品の品揃を考えだしたのは結構最近のことなのです。 なぜなら、そうしないと売れない時代がやってきたからなのです。
売り場の多くの部分をルートセールスに任せていると、数字が良い時はいいのでしょうが、悪い時にどうするか が問題です。 担当者によってはルートセールスにおはちをまわして「お前もっとちゃんとやれ」なんておかど違いな事をいいます。 売り場の人間が責任放棄しているのです。しかし数字は売り場の担当者の責任、最終的には自分に火の粉がふりかかってきます。
売る商品を決め、並べる場所を考え、値段を決め、在庫数を調整して、売上をたてる(以上がマーチャンダイジングです)仕事を他人任せにしているから、そのプロセスを振り返って反省することができなくなっているのです。
大体がそうでした、だからそういう担当者が売り場を任されると、ルートセールス天国ですが、数字は上がりません。

2004年12月2日(書きかけ)

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