中内功

2015年1月22日

連休の間に、ダイエーの創業者「中内功」さんが亡くなりました。
城山三郎の「価格破戒」という小説は彼がモデルになっています。

私は流通業の片隅で20年程働いていましたので、多少わかること
があります。
明治以降、流通業が日本で革命的に変化した事が数回ありました。

第一は、三越の「現金掛値無し」です。それまでの時代はまず掛
です。それも、年末一回とかの掛売り。その集金が忙しいので、
師走という言葉があります。しかも基本的に買うまでいくらか決
めていない、お互いの交渉で、値引いたり、吹っかけたりという
具合です。(大坂にはこういうの残ってますね)

第ニは、紀ノ国屋などの「セルフマーケット」です。お客さんが
自分で商品を選んで、レジスターで決済する。このレジスターと
いうのを開発、啓蒙したのが「NCR(National Cash Register)」
です。

第三は、チェーンストアーとディスカウントです。メーカーが商
品を作り、小売店に販売するまでに、問屋や物流の仲介があるの
ですが、小売店を組織化することにより、その中間コストを削減
し、また、大量に商品を販売することにより、仕入コストを下げ
小売値段に反映させます。その結果、既存の小売店よりはるかに
安い買価で販売できます。
ダイエーの最初の成功はここでした。

ダイエーは着実に店を増やし、第一の革命者「三越」を抜きさり
ました。ところが時代は、量販安売りから「多アイテム化、付加
価値」という時代に変わっていました。その頃からダイエーは流
通以外に、リクルート、ホークスなど多角化に走ります。

流通の第四の革命は、セブンイレブンの「単品管理」です。それ
までの三つがアメリカのテクニックの焼き直しなのに対し、セブ
ンのやったことは日本のオリジナルです。当時の日本のセブンイ
レブンは、アメリカの本社と提携してもマニュアルはなかなかも
らえず、最初はコンピューターも使えず、ノートを使っての単品
管理だったそうです。
その愚直さで、結果的にアメリカのセブンイレブンや親会社のイ
トーヨーカドーを傘下にもつ会社になりました。

その後、現代はさらに複雑です、ヨーカドーもダイエーも苦しい
ようです。一時100円ショップも全盛でしたが、今はそうでもな
いです。ユニクロも社長が変わりました。
難しいものです。

(Hatena::Diaryより転載)