「勝新」はいりまーす

2015年1月21日

2005-06-10

「新 兵隊やくざ 火線」 1972年 東宝(勝プロ)

勝新大好きなんです。
兵隊やくざは大映で1965年から68年まで製作されていますが。
これは大映倒産後で東宝の配給になっています。
大映時代とは原作、スタッフ全部違います。
でもちゃんと継続性をもたせています。

私はこのシリーズと悪名シリーズが特に好きです。
どちらも勝が戦中~戦後の「やくざ」です。
兵隊やくざでは娑婆でやくざだった二等兵「大宮」です。
初年兵の時最初に自分を人間らしく扱ってくれた上官「有田」(田村高廣)を
慕っています。
「新 兵隊やくざ 火線」では、上官(宍戸錠)とぶつかります。
大宮は中国の村長の家族をかばいます、しかしそれはスパイでレジスタンス?でした。
そして、部隊のほどんどは敵になります。
兵隊やくざシリーズは大概こんな設定です、そして酒好き、女好きで喧嘩が滅法強い大宮が
立ち回ります。
有田は大学でのインテリですが、喧嘩が弱くよく足を引っります。
しかし最後は大宮と共に行動します。
なによりも二人とも戦争が大嫌いです。

勝新の喧嘩シーン(座頭市の立ち回りも)はスピードがあってとても素晴らしいです。
これだけでスカッとするのですが、
もうひとついうと、実際の社会を反映しているんですよね、
組織の論理、正しいことを主張しても多勢に無勢。
正義が勝つわけじゃない。
だから多くは、主張するよりも「長いものに巻かれろ」になります。
大宮みたいなのは簡単につぶされます。
水戸黄門だって、ドラマじゃ絶対勝つけど、実際はね、あれじゃすぐ殺されますよね。

この頃はこういう娯楽映画で密かに厭戦感を伝えています。
ただの暴力映画じゃないです。
ところで、キャストですが、中国人の村長が大滝秀治、娘が安田道代です。

(Hatena::Diaryより転載)