カルメン故郷に帰る
「カルメン故郷に帰る」 1951年 松竹
以前に書きましたが、私が最初に観た高峰秀子出演の映画です。
もちろん主演です。
日本初のカラー映画です。
ケーブルテレビでこの映画のモノクロ版をやっていました。
知らなかったのですが、同時に作成したようです。
(恐らく対応できない映画館用?)
東京で有名になったリリー・カルメン(高峰秀子)が劇場の改装の休暇で、
友人と故郷の北軽井沢に帰郷します。
カルメンの職業は自称芸術家ですが、実は踊子(ストリッパー)です。
村にいた時から頭の弱かった彼女は、芸術家であるということを
信じているようですし、派手な見かけとは違い純粋な心を持っています。
そして村の人々
校長先生(笠千衆)、オルガンの先生(佐野周二)、資本家まるじゅう(見明凡太郎)
らと交流をもち、彼女らゆえのトラブルをおこします。
最後は彼女達の芸術を村の人に披露しますが…。
高峰秀子の書いた本にこの映画のことが書いてありました。
ある時松竹の木下恵介監督の台本が届いて、高峰は傍役でした。
こんな話し断りたいと松竹側に言ったら、
すでに新東宝(当時高峰は新東宝専属)にギャラを払ったということ、
高峰は新東宝のディレクターに売られたのでした。
高峰は木下監督に直訴しそのいきさつを訴えます。
木下監督は、
「そんな、手あかのついた仕事やめちゃいなさいよ、
そのかわり今度君の為に本を書いてあげるから」
高峰は今度の本はともかく、自分が不本意な映画に出なくてすんで一段落でした。
ところが、しばらくして高峰に届いたのがこの「カルメン故郷に帰る」でした。
当時のカラーフィルムは感度が低く、晴れた日に、多数のレフ板を使用して撮ったそうです。
野外で薄着(当時では裸)で撮るシーンが遅れて秋の晴れた日を待ったそうで、
震えながら演じたそうです。
高峰秀子はこの映画の挿入歌も唄っていますが、「銀座カンカン娘」という映画でも
唄っています。
高峰が子役時代を経て独立する時、引き取り手候補が多数いて、
東海林太郎もそのひとりで、歌の手ほどきをうけたようです。
(ちなみに、田中絹代も引き取り手候補のひとりです)
高峰秀子は歌、上手です。
スタイルもこの時代ではとても良いです。
この時代に天下の木下監督の映画とはいえ、裸同前で演じた彼女は素敵です。
しかも後で恥じていません。
今日は珍しく映画解説になりましたね。
(Hatena::Diaryより転載)
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