台所太平記

2015年1月22日

「台所太平記」 1963年 東京映画
前に「猫と庄造と二人のをんな」という映画について書きましたが、この作品も同じ谷崎潤一郎原作の小説が映画になっています。ただ小説が発表されたのはこの映画の制作の前年1962年。谷崎は1965年に79歳で没しますから晩年の作品といっていいと思います。
谷崎作品はいまあげた二作品の他にも「卍」、「細雪」、「痴人の愛」などの代表作を含め多くの作品が映画化されています。実は谷崎は30代の半ば頃(1920年)に大正活動写真株式会社という映画会社に籍を置き映画の制作に関っていました。

話を戻しますが、「台所太平記」は或る作家のうちのお手伝いさん(メイド)の変遷を描いています。おそらく作家は谷崎自身でしょう。小説が書かれたのが1962年なので、話の終わりの頃のメイドは現代娘(当時)です。この映画をその気で見れば昭和の日本人の生活史がそれなりに勉強できます。服装や食事やら。

メイドの入れ代わりとそれに関る人を描くので登場人物が多く、それに対応してキャストも豪華です。
メイド役は、森光子、乙羽信子、京塚昌子、淡路恵子、水谷良重、池内淳子、団令子、大空眞弓、中尾ミエ。
メイドにかかわる男性が、山茶花九、松村達雄、フランキー堺、三木のり平、小沢昭一などです。
主人(つまり谷崎)が森繁久彌、婦人が淡島千景。
何が豪華って社長シリーズが何作かできちゃいます。

これは、「猫と・・・」や「夫婦善哉」の豊田四郎監督作品です。
森繁-豊田監督-東京映画っていうのは傑作ぞろいのようです。

(Hatena::Diaryより転載)