冷や飯を食う

2015年1月22日

昔の映画を見るとお茶漬けにしてご飯をかきこんでいるシーンが多くあります。今はお茶漬けっていうとお茶漬けの素ですが、本来はお茶だけをかけて漬け物か何かで食べるものです。
で、なぜお茶漬けかというと、昔は「冷やご飯」を食べることがあったからだと思います。
お弁当箱で保存したり、おにぎりにしていれば別ですが、おひつに残った冷やご飯は食べにくく、お茶漬けにして食べたということ。
今は、冷やご飯ってまずないですね。ジャーがあるし、冷えてもチン(電子レンジ)があるから。炊きたてがおいしいのはわかっているけど、「ご飯は食べる時に温かい、お湯は四六時中沸いている」が現代の常識です。

「冷や飯を食う」っていうのは。冷遇されるという意味ですが、その家で温かいご飯を食べる時に食べられない待遇ということですね。「じゃあ電子レンジがあるじゃん」ではことわざが通じません。

今の立場を離れ、下からやり直すのを「雑巾がけから」、「一兵卒から」とか言います。特に政界の人が良く使います。最近は雑巾がけをする廊下のあるお家も少ないので、子供にはピンとこないかもしれませんね。掃除機かけとかコロコロがけからと言う方がいいのかも知れません。そもそも「女子供」という低い身分が掃除をするという時代の言葉です。
一兵卒、兵隊なんかもっとわからないでしょう。ちなみに狭義の「兵隊」は下士官未満の兵卒の事です。「兵隊やくざ」の兵隊もそうです。

前に勤めていた会社の社長が面接で、その人の将来の希望を聞くのですが(大概バイヤーとか企画がやりたいと言う)、その時「まあ、最初は切符切りから」とよく言っていました。
酒屋ですから切符は切りませんが、「売り子から」という意味です。国鉄時代の用語ですね。最近の新入社員は自動改札になってから電車に乗った経験という人も多いですから、本気でキョトンとしている子もいました。

言葉は生きているのです。

(Hatena::Diaryより転載)