大映の作る東宝的映画
「東京の瞳」 1958年 大映
6月のブログで「渇き」という映画を、大映青春映画として紹介しました。でも青春映画っていうと日活の吉永小百合と浜田光夫とかのイメージもあってよくわからないですね。
50年代の大映のウリは名優(長谷川一夫、市川雷蔵など)の時代劇とややシリアスなドラマでした。これは私の想像ですが、だんだん軽薄になりそうな時代を予想して永田雅一も軽い雰囲気のドラマをやろうと方向性をさぐっていたのではないかと思います。
「渇き」も「東京の瞳」も山本富士子が等身大の若い女性の恋愛を演じます。大映の映画では珍しい設定だと思います。
「東京の瞳」はキャストの設定がややめんどくさいので書きませんが、大映の若手総動員です、若尾文子、船越英二、川口浩、川崎敬三、柴田(田宮)五郎。というか他にいないのが大映の泣き所です。
時代劇や勝新のストーリーものはスターだけで客が呼べますが、等身大のリアリティなドラマはいつも山本富士子、若尾文子というわけにはいきません。
東宝は、淡島千景、新珠三千代、八千草薫など宝塚出身者に加え、司葉子、池内淳子、団令子、白川由美など多数の女優さんがいました。
そして60年代になると、星由里子や内藤洋子が登場します。
美人という点では山本、若尾ですが、バラエティ的なドラマでは層の厚さです。これは男優にもいえます。
船越英二がハンサムから三枚目まで演じるのを、宝田明、小林桂樹が演じ分けますし、川口浩の役を演じられるのも、三橋達也や佐原健二などがいて層が厚いです。
大映は山本富士子を追放し、永田雅一の唯我独占の企業となりたちゆかなくなります。
その結果が60年代の東宝黄金時代です。
(Hatena::Diaryより転載)
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