おばけ煙突

2015年1月22日

2005-10-22

「煙突の見える場所」 1953年 新東宝(スタジオ8プロ)

千住にあった、おばけ煙突の周りを舞台に描いたドラマです。おばけ煙突というのは、東電の旧千住火力発電所の煙突で高い四本の煙突が細い菱形に配置されていて、方角と距離によっては1本から4本に見えるという不思議な煙突だったそうです。
昭和27年。まだ戦後を引きずっていて貧しい日本です。千住と上野のシーンが多いのですが時代を感じます。千住は東京でも家賃の安い地域だったようです。ちなみに今私が住んでいる調布は、その頃は畑だらけです。
上野も広小路口の雰囲気や不忍池に今と似た面影がありますが、やはり全然違います。なにしろ50年以上前の映画です。

東宝争議で東宝の主立った俳優が新東宝に移籍していた頃の映画ですが、高峰秀子はこの頃からフリーで活動しています。他には上原謙や田中絹代、芥川比呂志などが出ています。

千住発電所のおばけ煙突は、オリンピック直前の昭和39年(1964)に取り壊され今では普通の発電所になっているそうです。その時、戦後とは別の軸のひとつの時代が終わったのでしょう。

(Hatena::Diaryより転載)