たった一年の違い

2015年1月22日

「負ケラレマセン勝マデハ」 1958年
「男性飼育法」 1958年
約一年違う映画ですが、東京映画で豊田四郎監督、森繁、淡島、小林桂樹が出演など共通点の多い二本です。(この間に撮られた『駅前旅館』というのも共通点が多いですがそれは今回は置いときます)

「負ケラレマセン…」は森繁が車の整備工場のオヤジ、その義妹で寿司屋の独身女将が淡島、税務署員が小林、淡島の妹が乙羽信子、亭主の布団屋が伴淳です。
税金を取り立てられる庶民と、取り立てる(それでも所詮庶民の)税務署員を描いています。
「男性飼育法」は森繁が商社の社長、妻が淡島、三人姉妹で、妹(次女)が淡路恵子、その亭主が大店の主人、花菱アチャコ、三女が水谷良重、その亭主が研究者、小林桂樹です。
三姉妹のが喜劇を演じる点で設定も似ています。

なのですが、
「負ケラレマセン…」は白黒で、「男性飼育法は」カラー、東宝ワイドスコープです。見比べると一年とは思えない差を感じます。
確実にカラー&ワイドの方がお金がかかるのですが、この時代どういう意図で白黒、カラーを選択していたのかよくわかりません。以前「カルメン故郷に帰る」という日本初のカラー映画のことを書きましたが、60年代までは、白黒も混在で、黒澤明や岡本喜八監督は、あえて白黒で撮った作品もあります。

ただ、今日あげた二作品では、「負ケラレマセン」が社会の底辺で、「男性飼育法」が上流(今でいうセレブ)の社会が舞台なので、なんとなく納得でした。

(Hatena::Diaryより転載)