森繁の魅力

2015年7月23日

社長シリーズ各話に入る前に森繁久彌の魅力というか、特徴をかいておきます。
前にもこのブログで森繁のことは何度か書いたので繰り返しもありますが、ご容赦ください。

1913年に産まれた森繁久彌は早大を中退後、東宝劇団~ロッパ一座~を経て、NHKに入社し満州に渡ります。ここで終戦です。
戦後、映画界にデビューしたのは1947年、すでに30代半ばです。そして、いくつかの映画で脇役を勤め、1952年の「三等重役」で認められます。このあとミュージカル仕立ての映画などで主役も勤めますが、決定的なブレイクは1955年の「夫婦善哉」です。
その後は、名優、カリスマの道を進みます。その中で”慢心した俳優”というイメージももたれてしまいます。

森繁の特徴は、演技、声(セリフ)はもちろん、歌(唄)や舞い、そして関西弁が上手いことです。今日の文章の大概が小林信彦の本の受け売りなのですが、小林氏は、「渥美清は声もいい演技も上手いができる役が限られている、ましてや森繁のような大学でのインテリがおちぶれた役などは絶対できない。」というような事を書いています。つまり森繁は演じれる役柄がとても多いのです。

社長シリーズはもちろん、駅前シリーズなどのような街の親父。森崎東の映画では新宿のストリップの元締めのしかもひも。「小説・吉田学校」や「恍惚の人」などを観るとさらに明らかにわかります。

森繁は昔、マキノ雅弘、豊田四郎、久松清児などの多くの監督に目をかけてもらったといいます。そこも渥美清=山田洋次と違うところで、各監督も森繁の広さと深さを理解していたんだと思います。

(Hatena::Diaryより転載)